潤滑油・FUCHS(フックス)ちゃんねる

魔法の添加剤?

今年の夏は、全国各地で最高気温の記録を更新したようです。
残暑が厳しい日がまだまだ続きそうですね。
さて、皆さんの愛車は元気でしょうか?
「10W-30」というようなマルチグレードオイルの登場で私たちは一年中同じオイルを使用していることができます。
以前、夏は「40番」。冬はそれよりもやわらかい「30番」と異なる粘度のオイルを使い分けておりました。
団塊の世代の皆さんはそのような経験があるのではないでしょうか。
いわゆるシングルグレードオイルというのがそれです。
シングルグレードオイルは、固い粘度では冬の寒い時に固すぎ、逆にやわらかい粘度だと夏場にはだれてしまう。
それで季節によってエンジンオイルの粘度を変えておりました。
しかし「粘度指数向上剤」の登場で、寒くても固くなりすぎず、夏場でもやわらかすぎないオイルを作ることができました。
そしてマルチグレードオイルが誕生したのです。

粘度指数向上剤
粘度指数向上剤は大変便利な添加剤ではありますが、多用するとデメリットがあります。
下図は粘度指数向上剤の仕組みをイラストにしたものです。

粘度指数向上剤は、温度が低い時には糸くずが小さく丸まっているような状態で、温度が高くなるにつれて膨らんで大きくなり、それが抵抗となりオイルがサラサラになるのを防いでいるのです。
しかし、エンジンオイルはピストンリングとシリンダー壁のような狭い隙間に入り込んで金属と金属の接触を防いでいるのです。
しかもピストンは物凄いスピードで上下等の往復運動をし、エンジンオイルを磨り潰しているような状態にあります。
この時、粘度指数向上剤は切り刻まれており、一度切り刻まれた粘度指数向上剤は元には戻れません。
この添加剤の劣化こそが、エンジンオイルの劣化なのです。
粘度指数向上剤を多用したエンジンオイルは長く使うことはできないのです。